Buonasera!
今年に入って初、週末おうちでのんびりしてるくわっちです。
つまり動きすぎ。
海外生活はインプットが多いんだから頭を整理する日も必要ね。
今日は、前回の投稿で少しだけ触れた南への旅についてです。
1月17、18日は休みをもらってイタリアの南へ行ってきました。
その中でもPioppi(ピオッピ)とAcciaroli(アッチャロリ)を目指しました。
まずPioppiについて。
ここは「地中海式ダイエット」の考え方の基礎を築いた生理学者アンセル・キーズ博士が人生の最後の28年間を過ごした海沿いの村です。
地中海式ダイエットは2010年に世界無形文化遺産に登録されています。
なんと「和食」より3年も早い登録なんですよ。
※「ダイエット」という言葉は本来、痩せるための食べ方や生活のことを指すのではありません。
英語辞書を引くと"the sort of foods usually eaten by a person or animal or community"、「人や動物、もしくはある共同体において普段食べられている食べもの」といった感じです。
もちろん「制限のかけられた食事」って意味もありますが、これも痩せるための制限じゃなくて健康で居るための制限。
カタカナ語は間違えて使わないように気をつけよう。
この村はリゾート地で冬の時期にはなーーーんにもないんですが、
彼の功績を称え、
"Eco museo della Dieta Medeterranea"
つまり「地中海式ダイエット博物館」なるものがあります。
イタリアを留学先に選んだ理由の1つが、
「健康に良い食事」として医学的観点から注目されている地中海式ダイエットについて学んでくるため。
地中海周辺地域である南イタリア、スペイン、ギリシャなどがこのダイエットに当てはまる食生活をしているとされています。
ざっくり食材についての特徴を言うと
「オリーブオイルにナッツ類、野菜、果物、魚を食べ赤ワインを適量飲み、
卵や肉やバターなど動物性の食品はたまにしか取らない」
「季節の食材、地元の食材を大切にする」
と言った感じです。
これに加えて「複数人でテーブルを囲みゆっくりと食事を取る」「地中海沿岸地域の伝統的な方法で調理する」なども含まれた食事体系です。
最寄り駅からはバスが出ているはずのこの村へのアクセス。
リゾート地と言うこともあり、冬には通学用のバスが1日1本のみ。
なんと徒歩で2時間半の道を行くことに。
しかもこの村、冬は何にもないと言いましたが宿もなかった。
後編で触れますが、Pioppiのせいでこの旅は壮絶なものとなるのでした。
それでもここにたどり着くことはこの留学の最大の目的でもあった。
来ることができて本当によかった。
次にAcciaroli(アッチャロリ)。
Pioppiの隣にある同じく海沿いの町です。
驚くべきは「10人に1人以上が100歳を超えている」長寿の村であること。
海沿いをカメラ片手に歩いていたら
「giornalista(記者)かい?」
と、ベンチに座ってたおじいちゃんとおばちゃんのペアに声をかけられました。
きっと世界中から取材が来てるんだろうな〜。
「医学生でこの町と地中海式ダイエットに興味があって〜」
なんて話しつつおじいちゃんに年齢を聞いたら96歳とのこと。
おじいちゃんも昔はgiornnalistaとしてイタリアを回ってたんだとか。
杖をつきながらも自分の足でゆっくりとたしかに歩く96歳。
もちろん彼だけでなく、100歳近いであろうおばあちゃん2人組は別のベンチでお話。
また別の100歳近いであろうおばあちゃんがゆっくり、ゆっくりと町の広場を歩いて行く。
この町の空気感はちょっと特殊すぎました。
日本は世界トップの長寿国で、世界中がそのことを知っている。
後編で登場しますが、帰りに駅まで車に乗せてくれたお兄さんも
「日本も長寿じゃん」
って知ってくれてた。
でも僕は拙いイタリア語で
「この町みたいに100歳近くの人が町を自分の足で歩いてはいないよ」
って伝えました。
なんだか淋しい思いを抱えながら。
それでもこの町へのリスペクトを伝えたくて、そう言葉にしました。
いったいこの地域にはどんな秘密があるんだろう。
そもそもこの地域の人が長寿なのか。
それともこの地域の食べものを摂取することで、
地中海式ダイエットに則って食事を取ることで長寿になるのか。
地中海式ダイエットを続けた結果、
その長さが細胞の寿命を反映する「テロメア」が長くなったという研究もあるらしい。
アンセル・キーズはアメリカ人だったが、
人生最後の28年間をPioppiで過ごした彼は100歳まで生きた。
1泊2日の中でこの地域で口にした食べものからは、
たしかなエネルギーを感じた。
「美味い」「もっと食べていたい」「身体を強くする」
そんな感覚があった。
オリーブオイルの味はフィレンツェや他の地域で口にできるものとは全く違って「美味しい」と素直に感じた。
料理は単純そのもの、でもどこで食べたものより美味い、
しかもここでしか食べられない唯一無二のものだった。
この魅力的な地域には、きっとまた訪れることになる気がしています。
ちなみにPioppiもAcciaroliもフィレンツェ人はみんな知りませんでした。
「津幡」とか「珠洲」とかみたいな感じかな。
「どこ?」ってなりました?
石川県民しかきっと分からない、この感覚だと思います。笑
医療系の人でもきっと食に関心がある人しか知らないはず。
それくらいコアな地域への旅だったのでした。
後編では地中海式ダイエットについてではなく、
この旅で感じることになった「自分にも訪れうる死」と、
その感覚を味わって現在想うことについて書きつつ、
この南の旅をまとめてみます。
明日はBolognaで食べまくるぞ〜!
Buona notte!