現代の食医 食べて飲んで生きる毎日

長野県で料理人/医者をしています。フィレンツェで料理人してました。

<後編②>Mediterranean diet(地中海式ダイエット)を求めイタリア南部へ

Buonsera.

来週の日月火、まさかの3連休でした。

予定もないしお金もありません、くわっちです。

出かけたいなあ。

 

さて、間が空いてしまいましたが死にそうになって生き残った日の翌日です。

快晴で朝日が気持ちイイのなんの。

携帯は相変わらず死んでる中、

旅のお供CANONくんのおかげで記録できたのはよかった。

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マンマ手作りジャムとオリーブオイル。帰りにジャムたくさん持たせてもらった。

帰りのバスは15時前なので(この後波乱のバス)、

さっそくAcciaroliの町へ繰り出す。

携帯の充電のためライトニングケーブルを町のちっちゃい電気屋で手に入れひと安心。

レストランが空く時間まではまだまだあるので、まずは海沿いに座ってみました。

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尊い。そんな海。

昨日の夜に見た闇とは真逆の海の有り様に見入っておりました。

改めて自分の生を実感。

尊いぞ、命。

しばらく座り込んでました。

 

 

そのあとは町をぶらぶらして前編でも書いた96歳のおじいちゃんとお話したり、

港の先まで歩いてみたりしてました。

 

 

 

帰りたくないなぁ

 

 

 

なんて冗談抜きで思ってしまいました。

母方のおばあちゃんちが海沿いってこともあり、

海沿いの町には安心感を覚えることが多いんですが、

ここは段違いで心惹かれた。

不思議な魅力がある田舎町です。

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うっとりする町並み、雰囲気は海外のどこにもなかったモノ

さてこのあとレストランで食事をし(前編で触れたマグロのグリルなど)、

点の店員と時々お話ししていたこともあってか、

支払後に手作りのリモンチェッロ(南の方言ではリモンチーノ)、

さらにクルミ蒸留酒までご馳走になったところで、

「ところで、この後の予定は?」

と。

「15時前にそこの港からバスが出るからそれでフィレンツェに帰るんだ」

と伝えたところ、

 

 

「え、バス本当にある?」

 

 

て言われました。

え?

前日2時間半歩いた記憶からのイヤな予感。

Google mapに出てくるバスを見せるも、

 

 

「この時期はオフシーズンだからこのバスはないんだよ」

 

 

だって。

いやーーーーーー。

てか、このバスGoogleで1日1本しかないやつ。

オンシーズンでさえ1日1本ってことかココ^^

とんでもない田舎に来ていることを再認識しました。

 

 

けっこうなピンチに立たされたわけ。

しかしなんと、このときレジで一緒に話してた常連さんご夫婦の旦那さんが

 

 

「このあと駅のほうに行くけど、乗ってくか?」

 

 

っていう渡りに舟。

あざーーーっす。

昨日生まれて初めてヒッチハイクして、

次の日にはまた別の人の車に乗せていただいて。

南の人は温かいっていうけど、こういうところなのかな。

 

乗せてくれた彼はFabiano。

 

1時間後くらいに合流し、20分ほどのドライブへ。

イタリア語がそこそこできるようになってきたところだったので、

会話もがんばることができました。

 

わい「アッチャロリは長寿って本当だったね」

Fabiano「日本も長寿じゃん」

わ「確かに長生きするけど、アッチャロリみたいに100歳くらいの人が町を歩いてたりはしないよ。みんな病院にいる。」

F「ふーん」

↑まったく実感なさそう。

 

わ「あんまり人いないしバスもなくて大変だったわ」

F「今は冬だからね、シーズンなら観光客もたくさんいるし仕事もあるんだ」

わ「今は何してるの」

F「去年はこの時期ピッツェリアで手伝いとかしてたけど、今は何にも。仕事がないからね。今度はオンシーズンに来てよ」

わ「またくる!」

 

F「ところでアニメが好きでさ」

わ「え、何が好きなの?」

F「携帯の待ち受け、ブリーチの一護なんだ」(待ち受け見せられる)

わ「おー、すごい。この前ヒーローアカデミア全部観たよ」

F「知ってる知ってる。今はあれが好きでさ、えっと歴史の話で…あ、ベルセルク!」

わ「ベルセルク!おれまだ観たことない!でも友だちがめっちゃ好き!」

 

とかなんとかしてたら無事、昨日の駅に戻ってくることができました。

別れを告げ、無事にフィレンツェへの帰路についたのでした。

Fabianoといろいろ話せたのは貴重な体験でした。

日本の医療は長寿を達成しているけどそれだけがゴールじゃないはず。

噂には聞いてたけど、南は本当に本当に仕事がないのかもしれない。

日本のクリエイターのおかげで日本人は海外で徳している。

 

イタリアはいいところだって、旅行なら表面だけ見て帰れる。

でも長く住んでこそできるコミュニケーションから国の問題点が見えてくる。

そこに留学の価値を置きたくなるのです。

その国のいいところだけじゃなくて、

どんなところで生きづらさを感じて、

苦労して、

それでも生活しているのか。

これが見えたらきっとイタリア人になれたって言えるんだろうな。

あと3ヶ月ほどでは…厳しいのかなあ。

 

 

 

間延びした文章になってしまいました。

今回の旅をまとめていこう。

今回の件を、トビタテの一環でついてくださっているメンターさんに話したのですが、しっかり叱られました。笑

リスク管理がなってないと。

まったくもってその通りです。

海外で、しかもまったく知らない土地。

ライトニングケーブルは壊れることを想定して2本持って行けたかもしれないし、

そもそももっと入念にバスと宿のこと調べておきなさいと。

旅については相当な無計画人間ですが、

それにしては今回けっこう調べていたこともありバスがあると思い込んでいました。

無計画な旅から学べることもあるけど、

普段の自分を離れるためにも入念に計画した旅ってのもやってみていいかもしれない。

久々に人に叱られて命の危機管理のなってなさを突きつけられた旅でした。

 

それから、新たな気づき。

イタリア語にある程度の自信を持てるようになったのだと思います。

イタリア語に自信がなければそもそもナポリより南、英語が伝わらなそうなエリア(しかもバスとか電車とかめっちゃ少ない)に行かなかったはず。

追い込まれてもイタリア語でなんとかしてみせると思うことができた。

英語以外の言語を学ぶことで世界を広げられることを学びました。

ピオッピとアッチャロリを周り、

人生初のヒッチハイクをして、

帰りは車に乗せてもらいお話できた。

まじめにイタリア語を続けたことによる成長を実感できた旅になりました。

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とにかく海がキレイ。帰りたくなかった。

 

 

今は卒業旅行シーズン。

みんなイタリアに来てくれるけれど、

イタリアはフィレンツェ、ローマ、ナポリヴェネツィア、ミラノ、トリノシチリア…。

だけではない。

死ぬ思いはしたけど、

イタリアのことをもっと知りたくて、

もっと出かけていきたくなったのでした。

今日はここまで。

良い夢を。

Buona notte.