さらば根津シェアハウス
Buonasera.
東京に来て1ヶ月が経った。
楽しくて、しかも長いと感じられる1ヶ月だった。
住んだ場所を後にする。
日本でシェアハウスに住んだのはこれが初めて。
住環境について学ぶこと、考えることがたくさんあった。
根津は、まさしく下町。
公園や動物園などで盛り上がる上野の裏で、ひっそりと時間が流れていく。
根津駅を降りるとつい「ただいま」と言いたくなる町全体の雰囲気が心地よい。
この地域に住めたことがまず正解だった。
シェアハウスは木造建築の一戸建て。
古い建物の匂いは祖父母の家の洋間を思い出させる。
玄関に帰ってきた瞬間に懐かしい香りが安らぎを与えてくれる。
畳の4人部屋は大きなテーブルと2段ベッドが2つ。
同じ志を持つ同世代の仲間と私の3人で寝起きした。
4人部屋にはもう一室畳の部屋があって、そちらには真ん中に作業テーブルとデスクチェアが2セット。
1ヶ月経とうとする頃にもう1セットやってきて、今では3つ。
机を突き合わせて朝からそれぞれ仕事する。
頑張っている姿に毎朝刺激を受けて、つられて頑張れる。
昼になると、それぞれバラバラに動き出す。
夜に戻ってくると、食事やゲームを囲んでお互いの事業や思想をシェアする。
良いことも悪いこともシェアしながら、次の一手や、これからの人生について話す。
それぞれが1日24時間でたくさんのことを吸収して前進しようともがいているから、常に熱に当てられて、気持ちが下がっているヒマが無い。
自然と活動時間が長くなった。
結果的に「長かった」と感じる1ヶ月を過ごすことができたのだろう。
シェアハウスに住んだことで、シェアハウス運営への関心はより強くなった。
諸々の責任の所在、住環境の維持・改善、そして食事環境。
「私がやるなら〜」を考えるネタを集められた。
イタリアでのシェアフラット生活を思い出しつつ、友だちのシェアハウスにお邪魔して運営方法や工夫について聞くこともできた。
私生活の充実と、これからの人生に活きる体験の獲得。
住環境から常に学びと活力を得続けた1ヶ月だった。
期限を決めて出てきたこともよかった。
決まった期間をフルに使って吸収を続けることができた。
本当に名残惜しいが、ここに出てきたおかげで次への1歩、いや2歩、3歩、それ以上が見えてきた。
質の高いガソリンを入れられるスタンドに通えば、走れる距離も長くなるし、長い距離を走ることを求める人が集まって、できるだけ長く速く走る方法をシェアしあえる。
環境は人を変える。
確信を持てた1ヶ月間だった。
Buona serata.