Buongiorno.
本の感想シリーズ。
今回は「鎌倉資本主義 ジブンゴトとしてまちをつくるということ」
著者:柳澤大輔
出版社:プレジデント社
起業と地域における企業の在り方についての本。
面白法人カヤックはご縁あって名前を知っていたので取っつきやすかった。
メインテーマとなる「地域資本」の考え方。
地域資本には3要素あり、
・地域経済資本:財源や生産性
・地域社会資本:人のつながり
・地域環境資本:自然や文化
として定義される。
この3つをバランス良く増やしていくことが人の幸せにつながる。
バランス良く、というのがポイントだろう。
一企業が動けば達成される話では決してなく、地域の他企業やNPO法人、学校や行政など環境ごとの多様なプレイヤーとつながっていくことが達成の鍵になる。
地域資本を増やすためには手をとりあう必要がある。
手をとりあって進めば地域資本を増やすことができる。
両者が切り離せないことにこそ、地域でやることの醍醐味が詰まっている。
そんな「人」の部分。
地域で、誰と一緒にやるか。
この問いは「そもそも誰と一緒に起業するか」という命題に帰着する。
面白法人カヤックの創業者3人は学生時代の友人で、どんな事業をするかは決まっていない状態からスタートさせている。
面白く働くことへの関心から集まり、「この仲間で面白い会社をつくろう」だけが決まっていた。
起業の時までそれぞれが何をするかを、アミダクジで各々に割り振って、「就職」「進学」「旅」をそれぞれが実行したというから、その「面白さ」の追求にはあっぱれだ。
誰とやるかが決まれば、何をやるかは自ずと決まってくるというのも納得できる。
個の特性と持てるもの・持ちうるものを十分に議論できれば、どこの何に手を付けていくか、だいたいの方向性は決まってくるはずだ。
この十分なコミュニケーションを通して仲間に向き合う姿勢が起業において踏み外しがちな第1歩であるという点は、「ビジョナリーカンパニー2」 でも述べられていたことを思い出した。
地域の魅力を引き出し、地域内にコンテンツをつくり、ゆくゆくは地域の外からの人の流入をつくり出す。
たくさんの事例が紹介され、そのどれもが勉強になるのだが、「まちの〇〇」という仕掛けには特に惹きつけられたので紹介したい。
アイデアがまちの人が集まる会合の中で生まれ、実際にまちに実装されていく。
まさしく住民参加型のまちづくりとなっている。
「まちの社員食堂」は、登録した29社が会社の垣根を越えて合同で利用することができる。
これはかつての共同炊事情や工場食、民営食堂の進化形態と考えることができそうだ。(くわしくは「胃袋の近代 食と人びとの日常誌」を参照)
まちの企業で働く人同士の関係性がつくられ、地域の資本が増えていくことを食事の場から目指すことができる一事例であろう。
地域の人と人の顔が見える関係だけでなく、テクノロジーの利用についても語られる。
一貫して地域づくりを新しく面白くしていこうと語られ、住み方・働き方の根本的な変化を予感させる。
働き方について問いを持っている人のヒントになる一冊だった。
鎌倉資本主義 ジブンゴトとしてまちをつくるということ [ 柳澤大輔 ]
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Buona giornata.