現代の食医 食べて飲んで生きる毎日

長野県で料理人/医者をしています。フィレンツェで料理人してました。

経験を、生きるエネルギーに変換する時間

Buongiorno.

 

世の中には「やったことがあること」と「やったことがないこと」の2つしかない。

小・中学生向けにイタリア留学の経験をプレゼンテーションする機会をいただいた。

 

やったことがないことにトライする気持ちは、歳を重ねるごとに小さくなっていると感じずにはいられない。

腰が上がりづらくなっているというべきか。

うまくいかなかった記憶に引きづられる。

この歳でまた失敗することにためらう。

なまじ「やったことあること」が多くて、その居心地のよさに一歩踏み出すことができなくなる。

もし自己評価が低いと、引きづられ、ためらい、踏み出せないのループに拍車がかかっていく。

経験ってのは、積めば積むほどプラスに働くわけでもない。

ひとつひとつの経験に対する当人の解釈はきわめて重要になる。

 

自己評価を高めるというより、自己を正当に評価する術を持つことが肝心なんだろう。

まずは小・中学生へのプレゼンテーションをやり切ったことに、ささやかながら自分を褒めてみる。

 

挑む限り、白線を越えた先はセレンディピティ(偶発するできごと)に溢れている。

目の前に現れる偶然を解釈しようとする営みが、人生を変えていく。

 

経験ばかり積み重ねようとしても、器の大きさには限りがある。

サイズのある素材を、丁寧に思考の蔵へ移動させる。

醸されたアイデアの核を抽出して、樽で寝かせて変化を楽しむ。

速く飲み干すことだけが人生の正解ではない。

 

 

日の出が早く、日没が遅い十勝。

建物が少なくて、遮るものがないからだろう。

たっぷりの日光は、作物にも人間にもエネルギーを与えてくれる。

とかち晴れの朝は、生命が上向いている。

太陽のエネルギーが、体内で生きるエネルギーに変換される。

ビタミンDだ。

光合成みたいなもんだな。

 

良い一日を。

Buona giornata.

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