現代の食医 食べて飲んで生きる毎日

長野県で料理人/医者をしています。フィレンツェで料理人してました。

原体験の再解釈

Buonasera.

最後に訪れてから20年も経った場所を訪れた。

あの頃とはセッティングが違いすぎて「懐かしい、のかな」という変わった感情を抱いた。

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人生の思い出深いシーンがある。

今のあなたの価値観の根底にある感情を揺すぶられた瞬間はありありと思い出すことができる。

「その時私はこのように感じたから、今でもその気持ちを大切に取り組んでいる」というのは仕事・生きる上であなたにも思い当たることがあるはずだ。

 

原体験と言われるものを信じること。

信念を見出して、大きなエネルギーを得ることができる。

ただ、信じてきた原体験だけでは必要とするエネルギー量を越えられない日が来る。

停滞を感じるのがこのタイミングなのだろう。

 

この時、2つ解決策が考えられる。

さらに別の原体験を認識すること。

車輪をもう一つ増やすようなイメージだ。

2輪、3輪と車輪が増えればそれだけ推進力が増していく。

 

もう一つ方法がある。

信じてきた原体験を再解釈するのだ。

「私」の眼から観察された原体験を信じている。

この「私」の視点から、その原体験の別の登場人物の視点へと移してみる。

その時参加していた他者の視点で原体験を解釈しようと試みる。

「私」がこれほど強烈に覚えている原体験を同時に経験した、もしくはその瞬間をつくり出したその人は、何をどう感じていただろうか。

もしその原体験があなたの答えようとする人間や社会の課題につながっているのだとすれば、その課題が「私」視点だけで語り切れるはずがない。

直接的にしろ間接的にしろ、相手や第3者がいてその原体験が形成されているはずだ。

同じ出来事を眺めていた彼らは何を感じていたかを想像する。

これによって原体験の理解が深まり、人生の1本の軸が更新されて、さらに厚く太いものになっていく。

原体験を再解釈し、つくり直す。

自らの中でRenovationが起きる。

 

より強い原体験から、より強いエネルギーを引き出す。

同時に課題の解像度が上がれば、儲けものだ。

Buona serata.