Buonasera.
生き物がつくり出す時間の流れ。
生き物はエネルギーで動いている。
身体の中に原子炉を持っている。
食べものを入れてエネルギーを生み出し、世界に変化を及ぼす。
ニュートンのf=mgから始まる世界のエネルギーに、人間は主体的に変化を加えられる。
エネルギーをもった人間が集まる場所は、エネルギーが大きい。
大きなエネルギーを動かせる人間が集まれば、数以上のエネルギーの総体が生まれる。
東京で過ごす時間は、密度が大きい。
f=mgから始まって、エネルギーの多い人間が集まる場所では時間の流れが遅くなることを、説明できないのだろうか。
物理はそんなに得意じゃないんだ。
相対性理論を引っ張ってきたらどうだろう。
スカイツリーの上、つまり重力の小さいところでは時間の流れが早いらしい。
人間が集まることで重力に変化が起きて、重力が大きくなっているとすれば、逆にここは時間の流れが遅いという説明になるんじゃないだろうか。
生き物が好きだ。
特に人間が好きだ。
私自身という不可解な存在も、大好きだ。
人に好かれれば嬉しいのに、好かれることを拒んだりするし、1人になるのは寂しいのに、時々1人になりたくなる。
時間の流れが遅く感じられるこの場所で、たくさんのエネルギーを受けて、私が削られていく。
生まれたままの形で放置されていた私が、彫刻のように削り出されていく。
人間が好きだ。
人間を動かす食事が好きだ。
食事を楽しむ場所が好きだ。
揺れ動く人間の心が好きだ。
人と人の関係性の不確かさが好きだ。
そんな人間のこれまでとこれからが好きだ。
唯一ひとりの私。
医者で、料理人で、飲食店をしたくて、心に関心があって、お酒が好きで、表現することが好きで、今でも人目を気にしてしまう私。
他者の力になれることが人生にとって大きな喜びであることを知りながら、私のために貪欲に生きることをやめられない私。
あるがままであり、なりたい自分。
点を打ち続けた今、形になりつつある。
環境は人を変える。
狭い世界から一歩踏み出すことを、後押しし続けたい。
Buona serata.