現代の食医 食べて飲んで生きる毎日

長野県で料理人/医者をしています。フィレンツェで料理人してました。

旅人が抱える不安とシェルター

Buongiorno.

これで家を離れて1週間以上経つ。

自らを元来の旅人であると思っているが、今回の旅は今までになく負荷が大きい。

仕事を抱えながらの仕事探しに、国家試験対策。

自ら招いたハードスケジュールの中で、えも言われぬ不安と無力感に向き合った夜があった。

 

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「帰るところがない」「行くところがない」「評価されない」という社会的に弱い立場にいる状態は精神にひどく痛手を与える。

社会には今の僕みたいな人を無条件に受け入れてくれる場所が必要だ。

「ここにずっといていい」「しばらくいていいんだ」と思わせてくれる場所、まさしくシェルターとなる場所が必要だ。

 

時に人は1人の人間の不幸や悲しみを受け止められるほど優しくなれない。

優しくなれる人たちが優しさを分け合って、場所をつくるんだ。

場所を用意するだけで再び立ち上がれる人間もいる。

けれど世の中には回復する力すら持たない人間だっている。

必要な期間は十人十色。

それでも「受け泊め」、回復を待ち、引き出す場所が必要だ。

 

旅人は彷徨い、疲れている。

一杯のコーヒー、一食の食事、一泊の宿。

これだけでも落ち着くのだから、1週間、1ヶ月となるとなおさらだ。

イタリアで受け泊めてもらった経験を思い出した。

朝起きてダイニングを歩く、それだけで幸福感に包まれた記憶。

旅人が、旅人でなくいられる場所が必要とされている。

 

Buona giornata.