現代の食医 食べて飲んで生きる毎日

長野県で料理人/医者をしています。フィレンツェで料理人してました。

食事は数値化され、商業化する

Buonasera.

 

 

最近「食べられない」という悩みを抱える人、そういった方の周囲の人たちとの出会いが続きました。

僕自身、食品開発の形で片足を突っ込んだダイエットの分野について、磯野真穂さんの「ダイエット幻想 やせること、愛されること」(ちくまプリマー新書)を読んで直感したことを。

 

「やせたい(体重を落としたい)」という感情は誰もが持ちうるもの。

最近は医学を背景(盾?)に●●ダイエットを推奨する流れが商業的に推し進められている。

「食べものが糖質やカロリーといった数値になって見えていた」と友人が言っていたことを思い出す。

●●制限という食べる型の提案は、十分な哲学的検証が為された上で誤解の無い伝え方をしなければ危険なものになる。

時に科学を伝えることではなく、科学の悪用になりその一端を担うことになってしまう。

痩せたいという想いの背景には「選ばれたい」「愛されたい」という承認欲求や他者との比較が横たわっている。これについてはエーリッヒ・フロムの「愛するということ」に重なる部分がある。

あなたの数値上の体重減少、筋肉増加は真に「何のため」のものなのだろうか。

 

 

食事の場が生み出す「おいしい」も「つながり」も、数えることができないものなんだ。

 

食事について様々に仕掛けてきたことへの自負はありますが、健康と食事の分野の広さには気が遠くなります。

一方で遠くなる意識の下に潜むワクワク、ゾクゾクがたまらない。

課題は山積みだ。

ひとつひとつ、現代の食事の課題を抽出して解きほぐしていく。

そのプロセスも大切にしていこう。

今日もおいしい食事に出会えることに感謝しながら。

Buona serata.