現代の食医 食べて飲んで生きる毎日

長野県で料理人/医者をしています。フィレンツェで料理人してました。

言葉で示していく仕事

Buongiorno.

 

「食べものは人と人の縁をつなぐばかりではない。断ち切るのだ。」

(藤原辰史「縁食論」より)

 

孤食や共食に関心を持ち始めたタイミングで、モーニングを友人と囲みながらの特別な朝に紹介されたこの本。

僕が表現していく食事の、新たな可能性が開いた読書だった。

孤食でも共食でもない縁食という食事のあり方。

僕の中になかった新しいワードがスッと胸に刻まれた。

領域を取り除いた淡いにこそこれからの答えがあるというのは、深い洞察をされている諸先輩方に共通した意見だと感じる。

 

この本を書いた藤原辰史さん、本に出会うことになったモーニングをやっている飲食店さん、そして本を教えてくれた一緒にモーニングを食べた友人。

全ては目に見えない人との「つながり」の中にある「縁」だ。

人と人の出会いには変化の兆しが詰まっている。

コロナ禍において顕在化した人間の分断は、人と人が出会うことの意味を問い直すチャンスになった。

問い直した意味を再定義し言葉で示していくことが、僕の仕事なんだろう。

 

心が動く食事の場をデザインする。

 

創業代表をしている「醸鹿 KamoshiKa」。

僕の想いだけだったものが、チームによって言葉として形を持ち始めた。

ここまでたどり着くのに3年以上かかった。

好きで、やめる理由もないから、下手なりに一生懸命やってきたら、仲間もできたし人とぶつかることもあった。

たくさんの人が興味を持ってくれては離れていき、寂しがり屋の僕は孤独を感じた。

僕が未熟だったからだと、今なら分かる。

「離れていった」と感じたのも、僕の未熟からだった。

人を離していたのは他でもない僕の態度だ。

 

これからチームでトライできることに感謝を。

苦しいことはたくさんあったけど、続けてきてよかったと思う。

続けようと思ってがんばってきたわけじゃなかったし、全て含めてこうなるべくしてなったのだと思える。

ここまで醸鹿としての僕に関わってくれた人に、改めて感謝申し上げます。

これからは「私の醸鹿」じゃなくて「我々の醸鹿」になっていく。

 

毎日の朝日を大切にしたい。

Buona giornata.