現代の食医 食べて飲んで生きる毎日

長野県で料理人/医者をしています。フィレンツェで料理人してました。

いまココから、2021年

Buon anno a tutti!

あけましておめでとうございます。

残念ながら帰省は叶わず札幌で年を越したわけですが、年越しも三が日も誰かと食卓を囲んで過ごすことができ、帰らなかったおかげで見えたものがありました。

人のつながりへの感謝で2020年が終わり、人のつながりに感謝する2021年が始まりました。

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年越しでいただいた北海道の発酵食品「飯寿司(いずし)」

「三が日は何もしないぞ」と決めて静かに過ごした3日間のおかげで文章を書く気になったというわけです。

今年は医学部最終学年の年、オトナの食育を行う「醸鹿 KamoshiKa」を法人化する年、就職先が決まる年、など盛りだくさんになる予定です。

立場や属性が付与され(時に望んでいなくても)、歳を取るごとに誤解されることが多くなっていくと思っています。

だからこそ僕は文字を武器に、いまココにいる自分の碇を、この場所に降ろします。

2021年の目標っていったら、これを誰への遠慮もなくやりまくるってことかな。

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おばあちゃんから送られてきた石川のめでたい和菓子「福梅」

 

 

2020年はクラウドファンディングを用いて「緒 -itoguchi-」というサービスの販売を行いました。

160組限定!食卓をつなぐ日本酒ギフトシェア「緒-itoguchi-」 - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)

(他にもイタリアからの緊急帰国とかもう訪れないであろう長い実家生活、他人に嫌われるなどなどありました)


8月から12月末までプロジェクト発起人かつリーダーとして、たくさんの初めてにチャレンジさせていただきました。

0から何かをつくり売ること、メディアに掲載してもらうこと、ビジネスコンテストに出場すること、事業を走らせていくこと。

新しいことに挑戦する中で、「コツ」だったり、みんなが悩むポイントを知ることができたことは今後の人生に大いに活きることでしょう。

 

ただ、気づいたことが1つ。

結局「人とのつながり」に尽きるということ。

 

大事なところでパチッとご縁がハマり、不思議なことに前に進む。

それが幾度となく繰り返された5ヶ月だったと思います。

同時に自分が孤独だということを思い知らされた5ヶ月でもありました。

結局のところ僕が立ち上げて、僕の想いが動かすプロジェクト。

周りに一緒にやってくれるメンバーがいたとしても、彼らが動かせるわけではなかった。

 

「僕(独り)がこのプロジェクトを動かしているんだ。」

 

そう思うことで自分を保っていました。

1つの事実だったとも思っています。

どこまでも孤独でした。終わった今だって孤独です。

 

でもこの「僕(独り)」はそもそも「1」ではない。

家族、友だち、人生で経験した他人との楽しいこと、つらいこと。

育った環境や訪れた土地、その環境をつくりあげていた人たち。

本に映画に音楽やアート、それを具現化した表現者表現者が表現できる環境をつくった人たち。

たくさんの「人」に構成された僕が、今このプロジェクトをやっている。

ある次元で見れば独り。違う次元から見ると独りじゃない。

 

少し自分から離れて世界を見るということだと思います。

こういう見方ができるようになったり、非情な孤独に対して怖がりながらも前に進めたのは、新しい出会いと再会のおかげでした(みんな故人だけど)。

 

まずは手塚治虫ニーチェ鈴木大拙のリレー。

手塚治虫版「ブッダ」から仏教と生を東洋の視点で問い、ニーチェツァラトゥストラかく語りき」から西洋・キリスト教的な生を学び、鈴木大拙の禅の視点で東西の統合を試みる。

計らずも生まれた読書のリレーは年末への大きな準備になりました。

 

次に尾崎豊

ブログでも何度か登場しているわけですが、彼の歌は人生のバイブルであり、彼こそが僕の人生のロールモデルです。

13歳から今日までの自分を彼抜きで語ることはできない。

2020年。小説や詩など、彼が残した文字を買い漁った。

その大きさに改めて触れて、この憧れ続けた存在を乗り越えて、これからの人生で「自分の歌を歌う」という誓いが立った。

この誓いが8月から始まったプロジェクトに大きく関わっているのは間違いありません。

 

そして岡本太郎

2017年に「孤独が君を強くする」に出会って以来、ずっと頭の中に引っかかっていた言葉は彼との再会をもたらし、逃げられない強烈な孤独から新しい言葉で僕を引き上げ、励ましてくれました。

 

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特大のホタテの貝柱。こういうものを触っていられる時が一番幸せ。

 

人とのつながりをもって、孤独な僕がモノをつくり、世の中に出す。

 

なんて未熟なんだろう。

なんて未熟なんだろう!

 

孤独と未熟さに埋め尽くされた永遠の中に一瞬「いま僕は生きている」という実感を得られた11月。

あの感覚を得てしまったからには戻れないと思う。

世の中とか、これまで知っていた言葉や人の見え方が変わってしまった。

人生をゆさぶり奮い立たせるものが奥の方から登ってくる。

 

「おまえとは違う」

 

いつか恐れずハッキリと言える日のために、2021年へと飛び込んでいきます。

僕がいまココで綴る、僕の本当。

もっと書き残していきたいと思います!

次は食、料理のことを書こう!

Ciao a tutti. Buona notte.