Buonasera.
本の感想シリーズ2回目。
前回は「鎌倉資本主義」を取り上げた。
地域の資本を育て増やしていくという経営の考え方に深い共感を覚え、影響を受けている。
【感想】鎌倉資本主義 - 現代の食医見習い 食べて飲んで生きる毎日
今回は「コミュニティナース まちを元気にするおせっかい焼きの看護師」(矢田明子、木楽社)を取り上げる。
コミュニティナースとは、
地域のみなさんの暮らしの
そばにいる看護師です。
ちょっと分かりにくいのですが、
定義やルールはありません。
資格でもないのです。あえて言うなら
コミュニティナースとは、在りかたであり、コンセプト。
生きかた、とも言えるのかもしれません。
「地域にこういう人が必要だ」と思って始め、
今では全国各地に広がっています。
地域の中で資格や肩書きに囚われず「看護師的」な在り方で地域の資源をつなぎ、活かしていく存在。
本の中では看護師としての仕事の傍ら地域にも出る人、地域の中でカフェという形で居場所づくりをする人、地域おこし協力隊という制度を使ってまちづくりに看護師的に入っていく人など、実に多様な在り方のコミュニティナースについて描かれている。
冒頭にも触れた「鎌倉資本主義」に通じる部分があると感じ、この本とともに私の中ではセットになっている。
地域の中で医療者の目線で地域資源を掘り起こし、つないで増やして活かしていく。
鎌倉資本主義でいうところの地域社会資本、地域環境資本に関して、医療者が大きな役割を担えることを示唆してくれる。
地域経営資本との結びつきについて、医療者はどうしてもお金の部分での発想が手薄になりがちなため、コミュニティナースにも経営的目線が加わり始めれば、医療者がより多様な地域のプレイヤーとつながりながら、まちづくりに力を発揮していけると考える。
また、もう一点本書から受けたのが「医療者はどこでだって活躍できる」というエールだ。
私の「医療者はもっと病院の外に出るべきだ」という思想があるため、親和性の高さを感じられた。
医療者は病院で活躍する。
しかし病院に囚われていてはいけない。
より多くの人の健康に寄与したいと願うとき、その答えが病院の中にないかもしれない。
また、政策や研究の外にもあるはずだ。
地域に出ればいい。
人と人をつなげばいい。
外に場所をつくればいい。
発想と行動の柔軟さの先に、医療者が地域づくりに参画する未来の実現が待っている。
Buona serata.