現代の食医 食べて飲んで生きる毎日

長野県で料理人/医者をしています。フィレンツェで料理人してました。

「本物」と一緒に

Buonasera.

年始の意気込みをまとめたり全然できず、ささっと2月がやってきた。

今年の目標は「『本物』と一緒に」にしよう。

 

「若月、あいつはいいな。あいつは本物だよ」

 

故・若月俊一先生の公衆衛生分野における長年にわたる業績を記念し、全国の保健医療分野で「草の根」的に活動されている方を顕彰するために制定された「若月賞」。第1回受賞者の1人、精神科医浜田晋先生が式の懇親会中にこぼしたひと言。

 

前々から持っていた「『本物』になりたい」という欲求。

たくさんの人と関わらせていただき、視てきた。

その中でたしかに感じる「本物」「傑物」的存在。会って話せば、そうなのか、そうでないのかは驚くほど簡単に分かってしまうと感じている。

人生の中で熟成してきた哲学は、立ち振る舞いと、使う言葉で十二分に伝わってくる。決して業績じゃない、仕事の内容じゃない、世間の評価でもない。「本物」は「本物」だ。その本質はすでに若い芽にさえ宿っている。年齢でもない。年齢が進んでいるほうが「本物」かどうかは分かりやすかったりするとも思う。あと大事なのは、相手を自分の五感(と第六感)で視ること。世間がその「本物」に対して口にすることを気にしないこと。世間と「本物」の区別って案外とこういうところだったりする。

 

僕自身が「本物」になりたいという欲求。

そこへ向かって心のつながりをもって一緒に歩いて行ける「本物」たちともっともっと出会いたい。「本物」を見つけ出したい。そして僕の中の「本物」に近づきたい。

「悟りを得る」ためには自身がそこへ向かうだけではなく、たどりつけば次の者を「悟り」へたどりつけるよう導くということをする宗派があるとどこかで読んだ。

「本物たち」が、先へ進むために肩を並べる。そういう環境に身を置きたい。

 

世間に声をかけられたとおりに半歩下がっている時間は、短い人生の中にはどこにもない。

今年も僕が「本物」に成るために、「本物」のいる場処へ。「本物」のそばへ。僕の中の「本物」を見つけるための旅に出つづけよう。

 

Buona serata.

「時間は有限だけれど伸び縮みさせられるもの」と説かれ、”焦り”と呼ばれたものに対して赦しを得たような感覚になった、「光のない夜」にインスピレーションを受けて。