現代の食医 食べて飲んで生きる毎日

長野県で料理人/医者をしています。フィレンツェで料理人してました。

書いたものに価値がある、という自負

Buongiorno.

病院の採用試験にて、800字の小論文を書いた。

「コロナ禍で得た経験・見聞から医師になる人間として学んだことと今後の目標」的なテーマだった。

時間と頭を使って生み出した文章には価値があるので保存して残したい。

記憶が新しいうちにまとめてみる。

 

イタリアでコロナを迎え、人間のもつ人種差別の心を知り、自らは「優しい医療者」になることを改めて誓った。コロナ禍において必要だと感じて動いた支援は全て食事の場と人間の心をつなぐものだった。そういう医師になりたいんだとコロナ禍の中で動いたことで自覚した。コロナ禍でも様々に実現してきた事実が、私がつくる側の人間であるという自負をもたらしている。医療者が現在の医療の外側である場所で安心して活躍できるような場所を用意する。これもまた私の役割であり、そこに向かっていくために2年間の初期臨床研修に入っていくのだ。

 

という感じで書いてみたのだった。

 

 

面接の話もついでに。

直前に手が冷たくなってきた。

いつもの緊張がやってきたらしい。

と、ここで今読んでいる「ユング心理学入門」(河合隼雄)の内容を思いついて、少し俯瞰してみた。

 

「私はいつも(面接前、プレゼン前)、何に緊張している?」

 

私は攻撃を避ける。

攻撃を避けるように育ったから攻撃される(ように私が感じる)ことや攻撃性に対して拒否する反応が出る。

そうか、面接しかりプレゼンテーションしかり、人前で話し意見を披露し、その中で攻撃を受ける可能性に怯えているんだ。

ここでユングさまさま、河合隼雄さまさまなのだが、考え方を変えてみることができた。

 

「面接で突っ込まれたとしてそれは他者が私に足りていないと気づいた部分を見える形に示してくれるアドバイスであり、成長の場なのではないか」

「誰も攻撃性は示していない。攻撃されると信じて一人で身構えているだけではないか」

 

瞬間、手の寒気がなくなった。

正直、驚いた。

自らの認知の変化だけで身体感覚に大きな変化が起きた。

これは私の医療者としてのテーマである「人の苦しみ」にタッチするための強い力になる気がしている。

夢中に読み終えた先にどんな世界、どんな自分が待っているか。

とどのつまり、この本を教えてくれた先生さまさまなのである。

 

次の面接前にも効果があるか、試してみる。

すでに次のステージが楽しみになっているらしい。

怯えていた自分はどこへ行ったのやら。

Buona giornata .