現代の食医 食べて飲んで生きる毎日

長野県で料理人/医者をしています。フィレンツェで料理人してました。

自分の話

Buonasera.

新型コロナウイルスで見通しも付かず手元もおぼつかない今だからこそ、

できることを見極め、息を整える修行ができています。

留学開始月となった2019年9月から本日2020年4月23日までに、

じわじわと起きていた自分の変化について書いてみます。

これを書くことは、

中断といいつつも心の中で継続していた留学に区切りを付けることです。

書いてしまえば、(精神的に)留学にはもう戻らないと意志を固めることになります。

いつもと違うので写真もご飯じゃありません、失礼。

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海外という新しい地で毎日驚きに餓え、曝されました。

刺激的な方々との出会いに恵まれました。

文化の良い面と悪い面、人間の良い面と悪い面が日本にいた時よりもずっとクリアに見えました。

その事象を景色として眺めていたような感覚です。

僕も人間なので新しいことの連続に心は動揺します。

影響を受け揺れる心をなだめ、励まし、

自分で居させてくれたものがいくつかありました。

 

まずは好きな音楽。

尾崎豊、WANIMA、そしてDisney音楽。

美しく力強い詩は僕を奮い立たせ、冷静にしてくれました。

日本にいた時からずっと聴いてきたものです。

 

次に日本の漫画・アニメ作品。

特にワンピースと僕のヒーローアカデミア

ワンピースの示す、日本人の目を通して見る「人の在り方」。

ヒロアカの「さらに向こうへ」という姿勢。

単純なメッセージほど自分の心の隅々に響きわたったものでした。

漫画とアニメの認知度が自分が日本人としていられる誇りを与えてもくれました。

「僕はそういう文化が生まれる国で育った日本人なんだぞ」ってね。

 

そして人との出会い。

留学という道を選んだ同年代は仲間だと感じました。 

温かい家庭に迎えていただいたこともありました。

人生の先輩たちに鋭いひと言をもらって一気に視界が開けたこともありました。

そのひと言が慣れないキッチン仕事に立ち向かう勇気をくれた、

とか本気であります。

これだから人と人との強烈な関わり合いがやめられません。

中毒者です。

詩も漫画やアニメも作者とのコミュニケーションと思えば人との出会いだから、

結局はここに集約されるのかな。

 

日本に帰ってきて、仲間と新しい世界への準備を始めています。

留学期間で身につけてきた物事への寛容さ、思い切り、より深い思考、自分への厳しさといったものが形になる機会をいただいています。

そこにも強烈な人との関わり合いがあります。

何度も焼かれ叩かれる鉄の気分です。

自分への正直さや世界の捉え方など、己の哲学が磨かれているのが今です。

変化の速度に自分自身が追いつけなくなりそうです。

 

留学中のどこかのタイミングで、

頭の回転数が一段階あがったと感じることがありました。

世界の見え方が一気に開ける感覚。

IQの数値が上がったりするんだろうか。

きっと海外滞在で探し、曝され続けた強い刺激によるものだと思います。

強烈に外部から叩かれる経験、comfortable zone(居心地の良い場所)から出るということ。

つらいことが無いとは言えませんし、

刺激の中に身を置くだけで変われるとは思いません。

より良き道を探し続けることを忘れず、

繰り返し自らを磨こうと試みれば本当に人は変わってしまいます。

 

今日はたくさんの節目になりました。

大切にしていた2つのつながりに区切りをつけました。

その1つは僕の思考の根源ともいえる尾崎豊というアーティストです。

13歳の冬に「太陽の破片」を歌う彼に出会いました。

過去のアーティストの映像が100組くらい流れていく番組でしたが、

彼だけが耳に入り目に止まり釘付けになりました。

ほとばしるエネルギーに「なんだこの人は」と全身に鳥肌が立ちました。

そこから目に付くCDは全て借りまくり、

尾崎豊の曲しか聴かないくらいの勢いでもう10年以上経ちます。

彼に関わる映像を見つければその全てに目を通してきました。

彼が死んだ26歳が僕の人生の一つの区切りになると思うくらい"痛い"ファンです。

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僕は僕の中の彼に別れを告げる。

今日手元に届いた、尾崎豊のインタビュー連載をまとめた本。

書かれた彼の哲学には自分と重なる部分が多すぎました。

彼の考え方がすでに自分の一部になっていることを自覚しました。

当時は「尾崎教」なんて言われてたみたいですが、

それとは全く違う次元で確固たる僕の人生哲学となっています。

そして今日決めました。

もう僕の中の彼を乗り越えていかなければいけないと。

多感な時に10年以上も寄り添ってくれた詩に、

もたれかかるだけの自分でいることはもうやめにしようと。

自立しようと意思することができました。

 

過ちから何かを学び、誰かのために動くこと。

その連続が人を変えていく。

決してゆるやかな道ではないけれど、

その道に入ることで人は変わっていける。

僕自身は自分が変わったことに気付いて大変に驚いていますが、

ぼくが自分に気付いただけであって案外周囲は知ってたりするのかもしれません。

行動観察における「盲点の窓」に過ぎなかったりして。

 

 

まだまだ今日は寝られそうにありません。

Buona notte!